「わたしたち、相互依存できたらいいですね」乗っていきなりの鈴木さんの言葉にぼくは耳を疑った。「いいんですのよ、わたしのいうことなんか馬耳東風で」。そんな、とんでもない!そうか、鈴木さんは以心伝心、気づいてくれていたんだ。ぼくの思いを。会社なんかと一心同体になるのはまっぴらごめんだが、あなたとなら未来永劫ラブラブっていうか、きっとあなたは良妻賢母、夫唱婦随でぼくたちうまくいくかななんて・・・あい、でもおれはけっして男尊女卑ではなくて・・・・
チン!1階に到着し、扉が開く。「それじゃ」と、鈴木さんはひとことも四文字熟語を口にすることもなく、すたすたと立ち去って行ってしまった。ああ、すべてはぼくの妄想、ほんのつかの間の夢のことだったのか。こうして今日もぼくは特に心をときめかせることもなく、日常茶飯の仕事に向かう。
・相互依存(そうごいぞん):たがいに頼りあって生存をはかること。
・馬耳東風(ばじとうふう):いくら注意しても何の効き目もないこと。「馬の耳に念仏」と同じ。
・以心伝心(いしんでんしん):言葉に出さなくとも自然に気持ちが相手に通じること。「心を以って心に伝う」と訓読する。
・未来永劫(みらいえいごう):未来にわたって永久に果てしないこと。
・良妻賢母(りょうさいけんぼ):夫にとっては良い妻であり、子供にとっては賢い母親である人。
・夫唱婦随(ふしょうふずい):夫が言い出し妻がそれに従うこと。夫婦仲がとてもよいことのたとえ。
・男尊女卑(だんそんんじょひ):男は偉くて女は卑しいという考え方や態度。
・日常茶飯(にちじょうさはん):ごくありふれた、日常的な事柄のたとえ。もとは日常の食事のこと。
スポンサード リンク